1時間半のノナ旗
今日は6時から7時半、1時間半のノナの旗が揚がった。
巻き網で出遅れていた我が家にとっては初ノナ漁。
それがとんでもない漁獲になってしまった。
なんと、1㎏さえも採られない。
夫にとっては、漁師人生始まって以来の大不漁。
こんなことは一度もなかった。
でも、これは夫だけのことで時はなく、今日は軒並み1㎏に満たない漁師が続出。
島の中でも一番昆布の多い仙法志は、こんなに早い段階からピンチに追い詰められてしまった。
このままでは、かなりやばい!
全く商売にならない。
何しろ、見えないらしい。
どこに行ってしまったんだ、ノナ!
まだ始まったばかりだけれど、こんな数量では先行き真っ暗だ。
急に採れる時でも来るのだろうか、と心配になってくるよ。
今年は昆布で食いつなげ、ということなのか?
それにしても厳しい状況だよ。
他の漁場はここまでひどくはないようなので、流通的には救いがあるが、我が家では大ピンチ。
ひたすら祈るのみ、だ。
明日から3日間の旗止めで、その後どうなるのか、今後に期待だね。
漁師の経費
漁師というのは、獲物を探して採ってくる職業。
あんなに小さなウニひとつ採るのにも驚くほどの経費がかかる。
船や船外機、スラスターなどに加え、鉾と呼ばれる長い竿、箱メガネ、等々私が思っていた以上に経費がかかるのだ。
漁獲の中から組合に支払う手数料も大きい。
今日のようは状態が続けば、大赤字もいいところ。
非常に厳しい世界。
夫は先日、アルミの鉾をカーボンに買い換えた。
たかが棒のくせに、20万円近いお値段。
なかなか買い換える踏ん切りがつかなかったけれど、巻き網の儲けから買うことにしたのだ。
今ではアルミを使っている漁師は少ない、だから頑張って買ったのに、この漁獲・・・
道具以前に、ノナが見えないのでは話にならない。
かかる経費が虚しくなってくる、今日この頃だ。
今期の展望
島に来て5年、こんな漁獲を初めて目の当たりにした私としては、理屈では大大ピンチに思える。
だけど、海のことってのは不思議で、ピンチに追い詰められてもなぜか最後にはどこかで帳尻が合い、食べるには困らない程度には儲けさせてもらえてきた。
きっとこういうことも、海の神様の采配なのだろう。
人知の範囲は超えている。
何十年もの間、そんな風に暮らしてきた島の人たちは、私のように慌てはしない。
いなきゃいないで「しょーがない」と、これまたすべてを受け入れる。
その懐の深さには驚かされる。
言葉にはしないにしても、目に見えない何か大きな力を、自然に感じ取っているのかもしれない。
この大ピンチをいかに乗り越え、シーズンを終えるのか。
しかと、この目で見届ける。